【DMM×サンスター】急速なデジタル化を押し進めるマーケティングチームの組織変革と人材育成(6月2日開催 ウェビナーレポート)

2020-06-12

*この記事は、2020年6月2日に行われたウェビナー(オンラインセミナー)の概要をまとめたものです。

コロナウィルスの拡大により、デジタル化が急がれる昨今のビジネス。
今回は、急速なデジタル化を成し遂げた2人、サンスターグループの兒嶋仁視さん、合同会社DMM.comの武井慎吾さんに、デジタル化を押し進める鍵となる組織体制についてと、そこで生じる社内コミュニケーションや教育・評価の課題、そしてその解決策について、お話を伺いました。

「コラーニング」ウェビナー

登壇者紹介

武井慎吾 氏
合同会社DMM.com マーケティング本部 デジタルマーケティング部 部長

兒嶋仁視 氏
サンスターグループ 営業本部 ダイレクト統括部 ダイレクト営業部 デジタルグループ長代行

西井敏恭(モデレーター)
株式会社シンクロ 代表取締役社長

※詳細プロフィールはこのページ下部をご覧ください。

[西井]
こんにちは。株式会社シンクロの代表、西井敏恭と申します。
今日は「急成長企業DMM・サンスター スピード経営・デジタル化のための組織作り・人事育成」ということで、サンスターの兒嶋仁視さん、DMMの武井慎吾さんに、デジタル化における組織変革と人材育成についてのお話を伺って参りたいと思います。
背景としては、シンクロで、マーケティングのサポートとして様々な企業をお手伝いさせていただくなかで、コロナの影響もあって、デジタル化を進めていかなければならないという相談をいただくことが増えていて、組織作りだったり人材育成だったり、本質的な問題を解決ができたらなと思っていました。
そこで、EC化率が急激に伸びていたり、デジタル広告をインハウス化したりと、つまるところのデジタル化を進められたサンスターさん、DMMさんにお話いただけないかという相談をしたところ、ご快諾いただき、このようなウェビナーを開かせていただくことになりました。

EC化率を急拡大したサンスターの5年間。1人のWEB担当者から、全社から頼られるデジタルマーケティングチームに。

[西井]
まずは、兒嶋さんから、サンスターについてお話いただけますか。

[兒嶋さん]
はい。まず、サンスターという会社についてです。みなさんご存知かなと思うのですが、歯ブラシやハミガキなどのオーラルケアを中心に事業を行なっている会社です。
僕はそのなかのダイレクト統括部 ダイレクト営業部といういわゆる通販を取り扱っているところで、デジタル領域の責任者をしています。

[西井]
かなりEC化が進んでいるんですよね。

[兒嶋さん]
そうですね。簡単なグラフですが、ここ5年でEC化率が急激に拡大しているという状況です。
2010年ごろにスマートフォンが登場し、その市場の伸びとともにEC化率もゆるゆると伸びていました。
ただ、2014年、2015年が踊り場で足が止まってしまい…。そもそも、この頃は、デジタルの組織もなければ、担当者もいない状況でした。
2016年に1からのスタートで、組織を構築しなおし、PDCAを回していくなかで、勝ち筋が見えてきて、2017年からぐっと伸びてきています。

[武井さん]
2017年以降にぐっとEC化率が上昇していて、デジタルが急拡大したかと思うのですが、企業トップからの見え方や温度感の変化はありましたか?

[兒嶋さん]
今までは、ブランドのマーケ担当者がレポートしていたのですが、今では、CEOへ直接、デジタルの担当者がレポートするようになりましたね。

[武井さん]
(DMMも)全く一緒です…!

[西井]
やっぱりそうなんですね。まずは、この数字をつくるということが社内の組織を動かす上では大事ですよね。きれいごとだけではなかなか難しいというか、数字をつくってしまう方が早いかもしれませんね。

EC化率を急拡大させた、サンスターの横断的デジタル組織

[兒嶋さん]
2014年から2017年、EC化率が伸び悩んでいた時は、左の図のように健康食品や化粧品のブランドチームが、商品の企画から全てを行なっていました。紙の広告やウェブ広告、CRMも行なっていて、手が回っていない状況でした。
その時のたった1人のWEB担当だった私は、そこを手伝いたかったんですが、組織の構造上入りづらく、主にシステム周りやデータ分析などを行う状況でした。

ただ、本格的にデジタルやっていかないとな、と会社として動き始めて、デジタルのチーム化ができたのが2017年の後半。WEB担当が1人だったところから2~3人になり、商品開発チームから、デジタルマーケティングの領域を巻き取ることができました。
また、SNS広告やアフィリエイト広告など機能別に担当をつけることができるようになり、専門的に取り組むことでスキルをあげることができるようになりました。
この組織体制にしたことによって、1つの商品で勝ち筋ができたら横展開して、他の商品にも適用することができ、スケールするようになりました。

デジタルを強化するなかで生じる、非デジタルチームとの壁

[西井]
ここで1つ質問を拾いたいのですが、組織体制を変えられたことでデメリットってありましたか?

[兒嶋さん]
はい、1つあって、商品開発担当が、デジタルについて放棄するようになってしまったことですね…。

[西井]
分かるー(笑)

[武井さん]
分かりますねー(笑)

[兒嶋さん]
デジタルマーケティングの用語が伝わらなくなってきてしまったり、コミュニケーションに溝ができてしまっていますね。
そこで、今後どうしていきたいかという話なのですが、僕、デジタルグループの責任者ではあるのですが、数年後にはデジタルグループはなくなってしまったほうがいいなと思っています。というのも、デジタルマーケティングってベーススキルであるべきだなと考えていて、商品に一番詳しい商品担当がデジタルマーケティングのスキルを身につけて、自らプロモーションなど、デジタルマーケティングを考えていくべきだなと思っています。なので、未来的には元の組織の形に戻るのかなと。

[西井]
今は過渡期だから、機能別に担当をつけているけど、本来は商品開発部がデジタルマーケティングを理解するべきということですよね。
オイシックス・ラ・大地でも人事部がデジタルマーケティングを活用していて、オウンドメディアを活用することで、採用率が上がったりとか直接の応募数が増えたりとかしていて。
ここでいう商品開発部はもちろん、人事部やさまざまな職種の人がデジタルマーケティングを当たり前に活用する時代になりつつありますよね。

なんでもやる企業DMMの大量の事業を支える、デジタルマーケティングの急速なインハウス化

[西井]
続いて、武井さんよりDMMについて、お話いただけますか?

[武井さん]
はい。DMMは一言でいうと、なんでもやっている企業です。もともとは、オンラインゲームなどのデジタルコンテンツ領域の事業を行なっていたのに加えて、インフラ領域、エンタメ領域、さらに昨今では、農業や教育の領域まで行なっています。また、そこで培ったノウハウを生かして地方創生なども行なっていて、コーポレートサイトのトップにも「領域とわずなんでもやる」「だれもが挑戦できる」と書いてあるのですが、本当に「なんでもやっている企業」です。

[武井さん]
そのようにたくさんの事業があるなかで、マーケティング本部は横串の組織です。自分たちのビジネスは持っておらず、横断的にDMMの各サービスに収益貢献することをミッションにお仕事をしています。
なので、手段も一辺倒ではなく、収益貢献できるように、しっかりビジネスの課題や目的に向き合って最善策を実行していくことが求められます。よく「マーケティング=広告」と考えられてしまうことが多くありますが、決してそんなことはなく、広告は手段の1つにすぎないと考えています。

今回のテーマである「急速なデジタル化」についてですが、DMMの1つの特徴として、ウェブプロモーションをインハウスで行うことができるインハウスチームを保有しています。このインハウスチームは、自分がDMMにジョインしたときに立ち上げたチームで、3年間でグループ全体の広告費の3割を担うことができるようになりました。

[武井さん]
もともとインハウスチームを立ち上げた目的を3行記載していますが、ここは、よく言われるインハウス化のメリットでございます。ノウハウやナレッジを蓄積させることだったり、ルールやガイドラインを策定し、運用していくことだったり。
あとは、インハウス化を進められている方がもしいらっしゃったら、分かりやすくメインの目的になることが多いと思うのですが、コストカットの観点です。外部に委託している手数料だったり、コミュニケーションコストなどをカットできることで、そのコストを他に回すことができます。この3つの観点でインハウス化を進めることになりました。

ただ一方で、一番意識したことは、コストカットを最重要の目的としないということです。やっぱり数字なので評価がしやすい指標になるのですが、広告費の効率化ばかりを意識しすぎて目的を履き違えてしまい、事業の本来の目的とハレーションが起きてしまわないように注意していました。

1つの領域に特化した専門家型マーケターの力を最大化させる組織体制

[武井さん]
次に、簡単に弊社の組織体制を説明させていただきますと、デジタルマーケティング本部に、4つの機能別のグループがぶら下がる組織構図になっています。
機能別の組織運営にしている理由は大きく分けて2つあります。
1つは、機能別に分けた方が多くの事業に対してバリューを発揮しやすいためで、もう1つは、採用や人事配置が行いやすいためです。

個人的に昨今のデジタルマーケティングの世界では、何か1つのスペシャリストというよりも全方位的にある程度できるゼネラルの1個上の、スーパーゼネラル的な人が求められていると感じているのですが、ただそういう人って市場に全然いませんし、採用するのも難しい。逆に、リスティングやってましたとか、ECをがっつりやってましたとか、そういう何か1つのスペシャリストであれば、市場にも多くいて、出会える可能性も高いので、組織としても採用がしやすいこの体制を選んでいます。
ただあくまで組織運営上の観点ですので、実際に活躍されている従業員とは、役割に関わらず、本人のキャリア・スキル志向性にあわせて案件や目標を柔軟に設定しております。

[兒嶋さん]
チームには中途の方が多いのですか?

[武井さん]
まさにこの後お話したいと思っていたところでした!
先ほど、兒嶋さんに質問をさせていただきましたが、やっぱり社内でインハウス化を押し進めていくなかで、やはり社内の理解、特にトップレイヤーの理解を得ることで話は進みやすくなると感じていて、まずはそのために数字をつくることを目的に、中途社員を中心にチームを構成していました。
つまり、その時は、教育が必要なかったんですね。

組織拡大に伴い急務となった評価制度の設定。課題は習得スキルの不可視

[武井さん]
ただ、おかげさまで事業が拡大しておりまして、それに伴いマーケティング組織も拡大させる必要がありました。当初は先ほどお話させていただいた通り、自走できる中途社員が中心だったのが、現在は、水色と青色の部分、社会人歴5年目までのU27層、ここが大きく拡大しています。この層に対して、教育や人事評価をする制度が整っていない組織だったので、ここを整えていくことが直近の大きな課題になっています。

そこで教育と評価についてどうやっていけばよいかを模索し始めたのですが、明確な課題としてあったのが、スキルの習得具合や教育の実施具合が可視化できないので、結果評価もしづらい状態であったということ。これは評価する側もされる側も、双方の悩みだったかと。

[武井さん]
そこに対してまず行ったのは、スキルマップを作成したことです。習得しているスキルの状況だったり、逆にこれから習得していきたいスキルが何かということが可視化されて、今後こうやっていきたいよねという話を具体的にできるようになったし、お互いに納得感をもって目標を設定し、取り組むことができるようになりました。
ただ、この時には評価と連動させる教育の策がまだ見つかっておらず、そこで出会えたのがコラーニングでした。

[西井]
おお…!ありがとうございます。コラーニングにつながってくるとは…!
ただ、実は僕も組織を作っていた時に、全く同じ課題を抱えていて、コラーニングを作ったという背景があって、まさに武井さんが抱えていた悩みと同じ悩みがコラーニングを生み出したのかなと思っています。

ウェビナーもそろそろ終盤ですが、ここでコラーニングという言葉がでてきたので、ここから少しコラーニングのお話をさせてください。
シンクロから提供させていただいているマーケティング学習のアプリなのですが、サンスターさん・DMMさんともに、デジタル化を拡大する上で様々な悩みを抱えるなかで、1つの解決策として、実はこのコラーニングを使っていただいています。

コラーニングとは、個人の成長を組織の成長につなげるマーケティング学習ツールで、主に企業さまに社員のマーケティング教育のツールとして活用していただいています。
例えば、本を読んでおくように言っても、本当に読んだかどうかが分からなかったり、採用の場面で、「私ウェブ広告得意です!」と言われても、どの広告をどれくらい取り扱えるのかが分からなかったり、要は、人の学習状況やスキルって可視化できていないなということがあったので、ここを可視化しながら学習を進めることができるマーケティング人材育成ツールとしてコラーニングを開発しました。

まず、コラーニングの1つ目のポイントが、「チャット形式のUI」であるということ。
世の中に多くあるe-ラーニングのツールって、動画ものが多いのですが、動画だと「よし、今から動画を見るか」って、少し意気込む必要があったり、30分くらい時間を確保しなければいけなかったり、学習をはじめるハードルが高く、なかなか学習が進まないという実状があると思っていて、隙間時間に気軽に学習を始められるLINEのような「チャット形式のUI」にしました。

次に、2つ目のポイントが「インタラクションのある学習体験」というところで、日本のe-ラーニングって、教科書的に何かを教えるとか、一方的であることが多いんですよね。
ただ、海外の最新の教育事情をみると教科書を読んでそれを覚える、という学習はもうすでに古いんですよね。検索すれば答えが書いてあることを覚えるのは古くて、どちらかといえば、その知識を使ってディスカッションすることなどを教育と呼んでいます。インタラクションが中心で、何か知識を得た後に、どうやってアウトプットするかということが重視されているんですよね。
コラーニングでも、学習したことをもとに自分のアイディアを出すことができるアンケート機能があったり、それが他の社員のも見ることができたり、また、クイズがあったりして、インタラクションができ、より学習の質を高める設計になっています。

[兒嶋さん]
テストの結果などで得られる経験値がランキングになっていたりして、サンスターの社員はかなりランキングを見ているようです(笑)いい意味でプレッシャーになっているなと感じていて、他の社員がどれくらい進めているのかチェックして、置いていかれないように頑張って学習を進めている社員も多いようです。実際に僕が声をかけるのは1ヶ月に1回くらいで、それぞれが自発的に進めてくれています。

[西井]
ありがとうございます。そのような効果がでているのはとても嬉しいです。僕がもともとマネージメントする側であるということもあり、管理者向けのサービスというところにも力をいれています。

最後に3つ目ののポイントが「管理者用のダッシュボード」です。日々の学習の進捗状況はもちろん、社員がどれくらい学習をしていて、どれくらい理解しているのか、また、領域ごとのスキルレベルを可視化できる管理画面を設計しました。まさに、先ほど武井さんがDMMで作成されていたスキルマップのような形で、社員のスキルを体系的に見ることができます。以上がコラーニングの簡単な紹介です。

[武井さん]
DMMの場合、先ほどお話した通り、機能別にグループが分かれているので、自分の担当領域以外に触れる機会がなかなか無いというのが課題でした。コラーニングのケーススタディを通して、デジタルマーケティングを網羅的に学習することができたことで、他の人の担当領域についての知識を得ることができ、グループを超えて連携がしやすくなったのが大きなメリットだと思っています。
またそもそも、これだけの人数で、同時に、同じ内容を学習することで、デジタルマーケティングについての共通言語や共通の話題が生まれたというのも、コミュニケーションの促進に繋がっていると思っています。なにかあったときに、「これコラーニングででてきたよね」とか、「コラーニングででてきた、〇〇社はこうやって解決してたよね」とかって、そういう意見交換が能動的に生まれるようになりました。

[西井]
絶賛していただき(笑)ありがとうございます!
兒嶋さんのお話でも、組織体制を変えた時に、商品開発のチームとデジタルのチームでコミュニケーションの溝が生まれてしまったという話がありましたよね。そういう課題も、コラーニングを通して、デジタルマーケティングをベーススキルとして習得することで、解決できるのかなと考えています。

 

そろそろ時間も迫ってきたので、まとめに入りたいと思います。
今回、かなり具体的に、どのようにデジタル化を押し進めたのか、そのときの組織変革の話や、それに伴って生まれた課題、またその解決方法などを、お二人にお話いただきました。
なかなか、ここまでお聞かせいただける機会ってないなと、大変ありがたく思っています。
お二人とも、今日は本当にありがとうございました。

[兒嶋さん・武井さん]
ありがとうございました!

登壇者

武井 慎吾 -Shingo Takei-
合同会社DMM.com マーケティング本部 デジタルマーケティング部 部長
2010年、株式会社アイレップに入社。主にナショナルクライアントに対し、ダイレクト・ブランディング双方のマーケティング支援に従事。 その後HR業界を経て、2016年にDMM.comに入社。WEBプロモーション機能をインハウスで完遂するトレーディングデスクチームの立ち上げ・責任者を担う。 現在は、DMM.comグループが展開する40を超える事業に対し、収益貢献をミッションとするデジタルマーケティング部の部門長として、評価制度・教育制度設計など、組織マネジメントに注力中。

兒嶋 仁視 -Hitomi Kojima-
サンスターグループ 営業本部 ダイレクト統括部 ダイレクト営業部 デジタルグループ長代行
2013年新卒入社後一貫してダイレクトビジネスに従事。システム・物流担当を経て、2014年よりデジタル担当を兼務。 2019年よりデジタルグループ長代行としてECに関わる領域を統括。 現在は新規施策開発、デジタル広告、UI/UX改善やCRM施策、システム構築までデジタル関連施策全体を取りまとめている。

西井 敏恭 -Toshiyasu Nishii-
株式会社シンクロ 代表取締役社長
オイシックス・ラ・大地株式会社 執行役員 兼 CMT
GROOVE X 株式会社 CMO
2001年から世界一周の旅に出る。帰国後、旅の本を出版し、ECの世界へ。2014年に二度目の世界一周の旅をしたのち、シンクロを設立。大手通販・スタートアップなど多くの企業のマーケティング支援やデジタル事業の協業・推進を行う。オイシックス・ラ・大地の執行役員CMT(チーフマーケティングテクノロジスト)を兼任。2019年9月から家族型ロボットLOVOTを販売するGROOVE XのCMOにも就任。

       

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